8020達成の影で
厚生労働省が発表した「健康日本21中間報告」によると80歳までに自分の歯が20本以上残ってる、いわるゆ8020達成者の数は、運動開始当初は7%だったものが、2007年には目標の20%を超え、現在では40%に達しています。短期間に国民全体の生活習慣病がこれだけ劇的に改善されることは非常に稀で、糖尿病や高血圧、メタボリック症候群の数があまり減っていないことを考えると8020運動が世間に認知され成果を上げていることを示しています。
実際に中学校での健診では1クラスに虫歯のある生徒は2,3人で、残りの9割以上の生徒は虫歯0です。これは幼児期からのフッ素洗口やフッ素入り歯磨き及び歯科医院でのフッ素塗布の成果が出ているのと、少子化で親が仕上げ磨きや甘い食べ物をあまり食べさせないなど子供の口腔ケアに積極的に関われる環境が増したことなどが要因にあると思います。
それではもう歯医者に行く必要はないのでしょうか。決してそんなことはありません。代わりに増加しているのが歯列不正と若年性歯周炎です。
歯列不正に関しては、小さいころからあまり固いものを食べない習慣のせいで顎の発育が遅れ、歯が並びきれずに重なってしまい、それに指しゃぶりやかみ癖、舌を突き出す癖なのが重なって重症化することが多いようです。
若年性歯周炎とは15歳以下の子供がかかる歯周炎のことでもともと遺伝的に歯周病菌が多く、歯ブラシが歯にしか当たっておらず、歯肉のケアができていないと重症化しやすいようです。
虫歯ばかりが注目されていますが実際には歯列不正や歯周病は、虫歯以上に歯を失うリスクの高い怖い病気です。また一度掛ると治療に時間が掛り、保険外治療になる場合も多くなります。これからは小さいころから固いものをしっかり噛んで食べる習慣を付け、特に両親が歯周病タイプの人は歯だけでなく歯肉をしっかり磨けるよう練習し、少しでも気になるようなら歯科医院での口腔ケアを受けるようにしてください。